Re: 当代世間裏算用 ( No.77 ) |
- 日時: 2009/11/18 13:25
- 名前: 天の橋立の愚痴人間
- sharinch さん、ひさしぶりです。
今から資本論研究とは、随分と根気があるようですね。
ここにおられる、役立ちの住人 さんも、貴方と同じようにブログを立ち上げられて熱心に社会に問いかけておられます。
ところで、役立ちの住人 さん、御指摘のマルクスについて、sharinchさんや満天下有人さんと以前に結構やりあったものです。
私などは、反マルクスの筆頭で、何回かマルクスを否定する文章を書いています。 若い頃のことですが、資本論なども掻い摘んだ程度ですが読んだりしていました。
しかし、一度もマルクスに引かれたことはありません。 有人さんも言われていますように、マルクスの考え方は嫌いですが、資本主義見る場合は役に経ちます。
私が、何故マルクス嫌いと言いますと、マルクスは人間の「利己心」と言うものを、彼が言う経済の仕組みの中に容易に閉じ込めてしまっています。
世界の共産主義が旨く行かなかったのは、この「利己心」のことが実は大きな要素であったと言う事だと思っています。
このことを言い出しますと、またまた相当長い話しになりますので今回は避けますが、貴方との話しも、大変奥深いものになってきました。
有人さんも、私も、sharinch さん、それに貴方も、大きなことの前に試行錯誤に陥っていると思います。 それも当然のことで、誰も(評論家、学者)この分野に深く入って論陣を張っている人はいないようです。
民主党がもたもたしているのも、結局は現状を打開するための強力な理念にたどり着いていないからと思います。
いまは、そう言う時代で、我々が臨んでいる議論は、まさに時代の要請であり、先取りの行為を仕掛けていると思っています。
ぼんやりとした方向性は解るのですが、大衆を納得させ、引っ張って行けるものには程遠いものです。 あっちにぶつかり、こっちにぶつかりですが、気長に追求して行きましょう。
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Re: 当代世間裏算用 ( No.78 ) |
- 日時: 2009/11/18 21:44
- 名前: 満天下有人
- ・・・おや、sharinchさん、お久しぶりですね、唯物民主主義の完成に向けて、相変わらずがんばっておられるようですね・・・
・・・どの先哲にも言えることですが、マルクスの思想は資本論だけでは理解できない部分も多々あり、経済学・哲学批判や法哲学批判、スピノザ往復書簡等々、周辺著作も合わせないと分かりにくいのですが、その周辺著作がこれまた、超難解(笑)・・・
・・・彼らの思想の発想の根底になっている物理、数学、化学、この基礎知識も要します・・・私がここで批判して来た新古典派もそうです、経済分析の手法はニュートンの力学にかなりの影響を受けているものなのですね・・・
も一つ大事なことは、先哲たちの理論が創生された背景としての個人としての人生がどのようなものであったかも、その思想を理解する鍵になることもあります・・・ニーチエが何故神は死んだという哲理になっていったのか・・・資本主義の精神を著したマックスウエーバーも私的な家族上の問題で、一時頭がおかしくなり、ニーチエに接近して行ったとか、色々あります・・・
@ 史的唯物論の公式(弁証法的考察) A 労働力の商品化による階級間の歪(搾取による資本の蓄積過程)
このどちらを選択するか、これは選択の問題ではなくどちらも相関関係にありますから、どちらも必要ですが、@については「史的」と言われている通り、歴史が社会関係の中で人間(思想)を創って来たわけでもありますから、広い意味での歴史分析も欠かせません・・・何故そこでそのような宗教が発生したのか、それが歴史形成の大きな要素になっているし・・・弁証法的思考が生じたのも、新自由主義が生じたのも、その背景に潜むものがあります・・・対象は膨大です笑)・・・
・・・ヤフー時代に確かあなたの唯物民主主義発想について、そのはしりはドイツ社会民主党・ベルシュタインに見られると書いた記憶があります・・・マルクスと同じマラーノ(隠れユダ民族)で議会を通じてのマルクス主義批判派でしたが、今日のアメリカにおいてもそうですが、同じ民族同士での葛藤も思想形成に影響している部分もあります・・・
わが国では民主社会党やら社会民主党やら、名前だけが逆様になったり(笑)、中身は社会をリードできる確固たるものがあるのか、民主党しかりです・・・
・・・さて思想を超えて未来は、どのような世界になるのか・・・科学の更なる発達は思想や宗教葛藤を超越させることができるのか、少なくとも今日まではその兆候が見えません・・・逆に紛争が増加しています・・・マルクスが言った生産関係が相変らず元になっての紛争なのか・・・
・・・天の橋さんが想定されている科学の発達による余暇・・・余裕ある余暇が宗教や経済関係紛争を超越させてしまうのか・・・逆も想定されるし・・・ヒマをもてあますと人間、ロクでもないことを仕出かす、という格言もありますしね(笑)・・・
・・・それとあなたは実践の中で理論の構築をやっておられると思いますが、実践なき理論勉強の集中は得てして変な結論を導き出してしまいますから、気をつけて下さい・・・まずは何でも見てやろう、調べてやろとの精神で・・・匿名世界なので各位の年齢も分かりませんので、失礼表現は乞容赦・・・。
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Re: 当代世間裏算用 ( No.79 ) |
- 日時: 2009/11/19 11:28
- 名前: sharinchi
- 天の橋立の愚痴人間 さん おひさしぶりです。
あなた達とのマルクスについて議論のやり取り、いまでも覚えています。
そうそう、あなたはマルクス嫌いでしたね。
小生が考えるに、彼は民主主義を嫌っていました(吉岡隆明より)。 それは「利己心」に関心があり、故にそれを捨象したのではないかと思います。 社会主義あるいは共産主義思想は従って、宗教的な観念論(望ましい社会はこうこうあるべきと、ある意味民主主義思想に逆行している)に陥らざるを得ない・・・
太宰治も「斜陽」の中の直治を通して「人間はみな同じ」という考えを忌み嫌っています。 「右大臣実朝」によって、人は生まれながらにして君子の相を持ち合わせ実朝を尊敬しているように伺えます。
唯物民主主義概念はそのような極少数人の意見ではなく、当初はそれらの人たちからは「なーんだ」と疎まれるような幼稚なものなのでしょう。これ、即ち、社会主義思想に相反するものです(新新自由主義とでもいえるか)。
英雄待望論しか社会を改革できなのか??? と自問しているところです。
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Re: 当代世間裏算用 ( No.80 ) |
- 日時: 2009/11/19 11:41
- 名前: sharinchi
- 満天下有人 さん
ご意見ありがたく受け止めます。 昨年、仕事を亡くして以来自宅で年金生活に入っております。 従って、今や実践なき思考の連続です。偏った理論に陥らないようあなた方の意見に常に耳を傾けていようと思っています。
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Re: 当代世間裏算用 ( No.81 ) |
- 日時: 2009/11/19 12:59
- 名前: 役立ちの住人
- 満天下有人さん。
最初に誤解があったこと、深くお詫びいたします。
先ず、あなたの言っておられる、共生社会での、お伺いしました責任の所在について、教えてください。
それと、@の、日本の構造的な原因に生産性の低さがあることは、私と意見が同じであるようですが、その場合、所得の低下は当然受け入れなければならないことになります。 解決策は、何を想定して居られますか?
Aの、>先ずは果たして円は強い通貨なのかということに疑問を感じます・
相場はもちろん相対的なものです。したがって何を基準に置くかによって変わってきます。 したがって、通貨と物価それに所得を相対的にそれぞれ比較してみてください。
はっきりとした傾向として感じられると思います。
貿易による影響は、決定的なものでないことも私の考えと同じであるように思います。
>ここで資本が資本の生産性向上策は取っても、国際競争力の掛け声の下に、それを根拠に労働の生産性が切り捨てられ、資本の生産性が上昇して物価が下がっても、労働者側は購買力の低下が避けられなくなって、結局は安い輸入商品へ傾斜して行く・・・。
労働の生産性が切り捨てられることは、企業にとっては生産性を上げますが、社会全体としてみる場合生産性はむしろ下がります。 それは先ほどの説明道理です。 しかし、これは、相対的に低い生産性に対して、人件費が高いことが原因ですので、人件費を下げるかそれとも失業を生むか、どちらかの選択を迫られることになります。 その業種を維持することに戦略性または社会としての必要性がある場合であれば、法規制または資金供給などの方法をとることになります。 失業、法的保護、生活費供給、どの選択肢をとったとしても、負担を生み、日本社会は全体として生活水準を下げます。
解決策としては、他の部分も含めた社会全体の生産性を上げること以外には、ありません。
言っていることが解るでしょうか、ここが一番大事なところです。
社会全体としての生産性を上げるか、それとも貧しくとも平等な社会を目指すか、他にはありません。 他にあると考えるならそれは幻想です。
莫大な借金、多くの老人、大きな責任を果たしていかなくてはならないこれからの日本にとって、貿易による資源獲得を必要とする日本にとって、選択肢はさらに限られてきます。
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Re: 当代世間裏算用 ( No.82 ) |
- 日時: 2009/11/19 13:08
- 名前: 役立ちの住人
- 天橋立の愚痴人間さん。
>ぼんやりとした方向性は解るのですが、大衆を納得させ、引っ張って行けるものには程遠いものです。
鋭いところをついてきますね、確かにその通りです。
社会が意識を生み出す、確かに真実です。 そして意識がさらに社会を作っています。
社会の問題は人間が作っています。 社会的な全ての問題は、利己的な価値観と、それにとらわれてしまう人間の知性に原因があります。 それを変えるのですから簡単なことではありません。 理解してもらうことさえ並大抵のことではありません。
しかし私の主張自体は、相互性を目指しただけの簡単なものです。 簡単ですが、社会全体、世界まで視野に入れた大きなものです。 人間の性質や歴史全てを含む大きなものです。
普段の生活で、そうした大きなものが人間の生活に大きく影響しているにもかかわらず。 利害を追求するだけの日常生活の中で、直接目にすることの無い、直接利益を生み出さないそうした事柄は、誰も見ようとはしません。
資本論が現在までに現状批判以外の何も残せなかったという結果を見ても推測されますが、人間の可能性をめぐる、さらに高い理想を意識しない限り、新しい時代を生み出すことは出来ないようです。
目の前の現実は、社会批判の道具にはなりますが、直接、理想の実現につなげることは難しいでしょう。 理想は、大きな相互性の中にあると思います。
個人、家族、企業、団体、国家、世界と、それぞれの立場に立たなければ、みえない理想の中に、それぞれの解決法が含まれていると感じています。
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Re: 当代世間裏算用 ( No.83 ) |
- 日時: 2009/11/19 18:19
- 名前: 満天下有人
- 「役立の住人さんへ」
私の投稿に対する貴見について、まだレスしていない部分について、ざっと愚見を述べて見ます・・・細部にわたると膨大になり時間の制約もこれあり、骨格だけに止めます・・・
「農業の生産性」・・・国際関係の視点も含めて@。
・・・土地神話、これも農地法の改正をやらねばならないことですが、先ず、わが国農業の生産性については、国内工業生産性との対比で農業を見るか、国際生産性対比で見るかによって、見方がかなり違って来ます・・・次に食料安保をどう捉えるかが重要な要素になります・・・それは原油と食料は今だに国際戦略上の二大物資である構図に変わりが無いからです・・・
<土地問題に市場原理が働きさへすれば、工業は労働力を確保しながら、農業は就農人口を減らし結果として生産性を伸ばせる>・・・
・・・結論を先に言うなら私はそう簡単には行かない、同時にこと農業に関しては工業と同列で市場主義を志向するのは危険であると思う者です・・・現に世界どの国でも、生産性の高い国でも農業には補助金をつけていることが、即ち市場原理だけでの営農は危険であるという認識の表明でありましょう、それは人間生存の基本物資であり、量の確保を重視しているからです・・・
国内農業生産性向上は、土地価格の問題は横において端的に言うなら、基本的には単位当たりの収量とコストに関係してきます・・・自民党時代政策では農地の集約化(株式会社的経営)が政策の中心になりました・・・中身に農産物確保より農業土木の推奨みたいなおかしな箇所は多々ありますが、この点も取り敢えず横に置きます・・・
それはそれで生産性向上の要因を含んではいるものですが、昔作ってみた国際比較表がどこかへ紛れ込んでしまい、数値は別にしても、米欧での耕作地絶対面積を考えたただけでも、何百倍の差があり単位収量では天と地の差があります・・・
国際関係を視野に入れてわが国の農業の跡を見ると、市場主義の原則から言えば、つまりは輸入した方が得であるという方向へ傾斜して来た・・・国際市場原理からすれば、工業化による農業労働の移動と同時に、いくら国内生産性を上げても追いつかない、この国際市場原理も働いて国内農業離れが加速された・・・も一つは戦略物資としての米国穀物の思惑がありましたが、これは後にするとして、所謂食料自給率約40%(カロリーベース)の中身を見てみます・・・
食料自給率を最も下げているのはトウモロコシですね、1700万トン100%輸入ですから(輸入総穀物の62%)・・・これはまさに工業化された社会の食生活の変化、動物性蛋白の摂取増加を端的に現し、それが穀物消費の増加をもたらしている・・・中国が人口増の影響があるにしても、高成長に伴い目下同じ現象を後追いしている、食糧輸出国であったのが、遂に輸入国に転じてしまった・・・
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Re: 当代世間裏算用 ( No.84 ) |
- 日時: 2009/11/19 18:23
- 名前: 満天下有人
「農業の生産性」・・・国際関係の視点も含めてA
・・・わが国農業では、市場原理に従って食生活の向上に必要な主要穀物は輸入に依存して来ました・・・しかしそれが破綻しても大して気にする必要も無い・・・なぜなら基幹食料は「コメ」であるしほぼ100%国内で生産している、いざとなれば白米メシに魚の塩焼きで十分生きることができるし、メタポ防止にも貢献するし・・・(もっとも、その魚も高級化しておりますが)
どうしても畜産系蛋白が必要なら、畜産主要原料であるトウモロコシなど、休耕水田が相当あるのだから、これを転用して飼料イネの栽培や放牧も可能であるはず・・・
農業の衰退、輸入依存を気にする必要はないが、しかし同時に何故気にせねばならないか・・・それは工業化によって余剰農業労働を全部吸収できないという面、つまり農畜産従事者が食って行ける絶対的場が益々狭められてしまっていること・・・この問題は農畜産業に復帰しても生産性の向上だけではとてもじゃないがカバーできない・・・
休耕水田の畜産業への転用利用にしても、飼料原料から放牧までの一貫体制にするにしても、生産性はかなり期待できるにしても、平均的所得を得にくい、この補償をせねばならない、そこが新政権による農家直接補助金政策になったものと思います・・・
そして生産性とは関係なく農業面で無視できないのが、里山保護にも見られるように自然循環体系を守ること、治山治水の側面が無視できない・・・農業保護の別の側面があると思います・・・
・・・通常穀物1トン生産に要する水は平均で2dを要します、トウモロコシの場合は2d、コメでは約3dです、畜産物になると牛の場合は16トンと高くなる・・・アメリカではこの水の7%は化石層の化石水に頼っている、これが枯渇し始めてカナダの分を水泥棒してNAFTA北米自由貿易圏でありながら水紛争が絶えない・・・
ちなみに東大生産技術研究所での調査では、わが国が輸入する穀物・畜産物に要した水は年間427億トンになっていると言います、国内農業畜産に使う水の量は約550億dですから、いかに大量の水が輸入(ヴァーチャルウオーター)されているかが分かる・・・食糧価格は多分、使用水の量によって価格が左右される時代が来るかも知れない・・・
話が横路にそれましたが、最後に農業問題は、生産性による自由市場だけの問題に留まらない側面があります・・・それは国際市場に頼っていては、物そのものの量が確保できないリスクです・・・
・・・国内生産性の向上、その前に所得関係で国民層として保護せねばならない農業・・・それは工業産物と違う側面、先ず食べるものがないとどういうことになるか、その極面を見落としてはいけない、つまり生産性は考慮せねばならないが、それ以上に「物」そのものは輸入依存にせず極力国内生産で確保しておくことが極めて大事であると思います・・・
<(農業の生産性上げるのは)理論的に簡単なことですが、そこまでする“切迫性”があるかどうかが一番大きな課題だと思います>・・・
まさに問題はそこにあります・・・国際状況に疎い我が国では、相手の戦略による物資不足、とくに人間生活基幹である食糧も、比較生産費論によってカネ払って安いモノを買えば済むことだと思ってしまいます・・・これは「基本食糧が持つ戦略性」を認識していないからとも言えます、原油と食料は二大戦略物資であるという構図は、今だに変わっていない、グローバリの時代とは言え、基本構造は変わっていない・・・
・・・そして農業食糧は切迫性が出てからすぐに対応できない性質があることを認識していない・・・通貨破綻による切迫性は、土壌育成もコストも何も要しない紙幣を印刷すれば当面は急場をしのげますけど、食糧生産の復活はそうはいかない,時間がかかります・・・歴史的に過去二度もあった食糧穀物戦争、これをレビユーしながら戦略物資の構造を見、そして政治に絡む修正主義のことも次稿で・・・。
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Re: 当代世間裏算用 ( No.85 ) |
- 日時: 2009/11/19 22:13
- 名前: 満天下有人
- 「農業の生産性」・国際戦略物資にされる基本食糧(3)
・・・「マルサスの悪魔がやってくる」という有名なセリフまで生んだ、人口論のマルサス・・・基本食糧が戦略物資として利用された第一次穀物戦争・・・ 動機はナポレオン戦争にあった・・・ そもそもマルサスは周知のとおり、人口のネズミ算的増加を予測し、基本食糧は国家保護の下に行なうべしとの論者であった・・・これに対しリカードは、アダムスミスの流れに沿って自由市場を唱え、国際比較生産費論をひっさげて安く買えるところからは安く買えという論でマルサス理論に対抗・・・
・・・ナポレオン戦争前は欧州本土の安い小麦を英国は輸入していた・・・ところがナポレオンに対抗して海上封鎖を行なったものの、国内農業育成を怠ったために価格が急上昇、それよりも物そのものが手に入らない・・・満州事変に突入した頃のわが国状況と良く似ている・・・
戦争により一旦途絶えた輸入も戦争終結により再開、これで英国の食糧自給率は40まで激減、安いものが手に入るのは良いが、一旦緩急あるときは国民を養えない・・・これに懲りた英政府(地主階級を中心に)穀物法を施行して輸入禁止措置を取ったが、激減した耕作地面積400万ヘクタールを元の1800万ヘクタールに戻すのに約30年を費やしている・・・
第二次穀物戦争は1973年のニクソンによる Grain Export Ban=穀物輸出禁止令がある・・・これは旧ソ連穀倉地帯のウクライナが大干ばつに襲われ、しかし人工衛星もない時代でありかつ、ソ連が鉄のカーテンを下ろしていたから情報が遮断されていた・・・あの頃の米国収穫は大豊作が予想され、シカゴ先物穀物相場は下落に続く下落状態・・・それが突然急上昇を始めた・・・確か秘密裏における米ソ密約で小麦中心に2500万トンがソ連向けとなり(当時の世界穀物の貿易輸出可能量は1億トン、いかにデカイ数字であったか)小麦1ブッシエル/$1が一気に$4まで急上昇したという記憶がある・・・大豆など$2が$13まで上昇・・・わが国では豆腐が食べられなくなるのではという不安感に襲われたとも聞く・・・
・・・米ソ、表向きは冷戦関係にあったのに、何故契約が成立したのか・・・当時世界の穀物流通を牛耳っていた米穀物メジャー5社は、カーギル1社だけが米国人・・・後4社は全部、非公開のユダヤ資本である・・・
そのうちの1社コンチネンタル創業者も、ポーランド時代に迫害を受けて、助けてくれたソ連人が後にソ連食糧公団総裁にまで出世、昔の恩を返したというわけだ・・・この前後のスパイ絡みのことをノンフイクション小説にしたら、面白いといつも思いながら、未だ実現せず(笑)・・・
結局ニクソンは、他国への輸出を禁止してまでケンカ相手ソ連と裏で握手したのは、どういう裏算用があったのか、未だ謎である・・・今になって推定されることは多分、イスラエル問題が絡んでニクソンも米国内ユダヤ名誉毀損同盟・ADLなどのかなり強い圧力があったものと思う・・・ 結果事実は一つ・・・ある国は原油、食糧などについては一旦緩急あれば他国のことなど構はなくなるということだ、自国利害を最優先する・・・1815年の英国穀物法成立しかり、食糧安全保障がいかに大事かが見える・・・
それはもう古い昔のことだと笑ってはいけない、2年前のシカゴ相場の急上昇で何が起ったか、世界諸国はいかなる対応に出たか、ついこの間のことである・・・。
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Re: 当代世間裏算用 ( No.86 ) |
- 日時: 2009/11/19 23:56
- 名前: 満天下有人
- 「農業の生産性」国際戦略物資にされる食糧(完)
・・・二年前まで上昇を続けたシカゴ穀物先物価格はすさまじいものだった・・・
背景には主要輸出国である豪州の継続的な旱魃の影響もあったが、原油,金の上昇もさることながら畜産主原料トウモロコシなど、常識的にはブッシェル/$2弱が昨年では$7.65まで上昇・・・これはブッシュ大統領が地球温暖化国際要望に反対し続けた緩和策戦略もあってのことだろうが、バイオ燃料としてコーンエタノールへの傾斜を強める政策を一般教書に盛り込んだ・・・
2000年段階での米エタノール生産量は61億リットル、それを15年までに1400億リットルまで拡大するというもの・・・
・・・一昨年TVでよく見た光景、日本商社がイリノイ産地の生産者に、日本向け契約は破棄しないで欲しいと嘆願行脚の光景・・・かくの如くどの国でも自国国益を守る動きに出たときは、自由貿易市場のことなどお構いなしになる、契約もあっさり破棄して来る・・・基本食糧である穀物の戦略商品としての性質がここにも見えた・・・
この戦略に中国もまた後追いを始めているから、わが国など吹き飛ばされてしまう・・・
米国の動きを見たロシア、アルゼンチン、中国など7カ国が小麦輸出禁止令の措置を取り、ヴェトナムなどがコメ輸出規制を行い、輸入国であるフイリピンなど悲鳴を上げていたのは、ついこの間のことである・・・
・・・かくの如く、いざ鎌倉となれば食糧輸出諸国は人のことなど構ってはいないのである・・・単なる市場論では物そのものが確保できないのである・・・ ちなみに食糧自給率が高い順に並べると、仏142%、米国128%、ドイツ122%、英国70%、低いイタリアでも62%・・・わが国のような40%と言うのは、お尻丸出しで走っているようなものである・・・
民主党の直接戸別補助金支給もさることながら、量としての確保をどのように政策に盛り込んで行くのか、注目したい・・・。
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