Re: 当代世間裏算用 ( No.1 ) |
- 日時: 2009/10/14 23:07
- 名前: 満天下有人
- 「経済学の怠慢」A
・・・合成の誤謬とは既に言い古された経済学上の言葉である・・・ミクロである個々人、あるいは個別資本体が自分にとって合理的行為と思うものが集積されて、マクロ総体となった時、往々にして歪んだ全体が出来上がってしまうという、経済上の理屈である・・・
この現象は何も経済行為に限ったものでもない・・・個々の役人が、いやオレたちは日々正しいことをやっている、一生懸命やっていると考えていても、それが全体像に纏まったとき、国民生活からすると、望む所と大きく乖離して実におかしな形になってしまっている・・・
・・・国民側にも言えることは、個人の自由というものが、全体となったとき、自分の自由を縛ってしまうおかしな結末となって自らを束縛してしまうことも、合成の誤謬の一つのケースである・・・
話を経済のことに戻して見ると、古来経済学の大御所は沢山輩出されてきた・・・ 古典派と言われる先哲も新古典派と言われる学者たちも、お金貨幣というもののが人間経済にとってどのような影響を及ぼすかについて、理論を生み出しては来た・・・
しかしどの理屈も最初からマクロありきで、マクロから理屈を末端に当てはめるものばかりで、マクロ理屈が末端ミクロに落し込まれて行かない、だからこの地球で何時まで絶っても貧困層や所得格差の問題を解決することができない・・・極限状態の恐慌、あるいはその一歩手前の段階になってもそれを食い止めることが出来ない・・・
経済が破滅的になり失業者があふれても、あるいは全体としては破滅的になってはいないのに失業者や貧困層が増加するという現象を理論化した経済「学」をいまだ見たことはない・・・
・・・合成の誤謬から生じた貨幣の動きが、マクロ面で既にこれほど、影響を与えているというのに、しかも何度もとんでもない事態を生じせしめて来たというのに、そこを中心にしたマクロ経済論が出て来ないというのは、正に経済「学」の怠慢というものであろう・・・
いや新古典派なる経済学は逆に、マネーの供給を操作することで経済は成長すると云うことのようだが、それが失敗した時、マネー本位の経済制御を中心に論を修正する試みも聞いたためしがない・・・
既存の経済学が常に貧困層を生み出し、格差を是正することも出来ない背景には、貨幣の動きを手段としか位置つけないマクロ理論から脱却できないからではないか・・・
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Re: 当代世間裏算用 ( No.2 ) |
- 日時: 2009/10/14 23:11
- 名前: 満天下有人
- 「経済学の怠慢」B
・・・貨幣は第一義的には物資を手に入れる交換手段である・・・
その意味で非常に公共性の高い公共財でもある・・・マクロ政策が経済成長を促す手段として貨幣を中心におく場合、昨今ではそれがマネー競争の手段になってしまっていることを考慮しない・・・マクロの貨幣政策がミクロにどのような影響を及ぼしているかの検証を真ん中に置く理論に未だにお目にかかれない・・・
ひょっとして現代の経済学は今だに人間の行動は合理的なものであるという、古典的論理が正しいとでも思っているから、マクロがミクロに及ぼす影響に手をつけないのであろうか・・・
・・・為替が一時90円を割り、わが国の輸出産業がダメになるとマスコミが騒ぎ立てる・・・これもマクロ経済論者から言わせれば、一つの合理的な現象であると云うかも知れない・・・つまり輸出が強い国が強くなれば通貨の運動は、その国の通貨価値が高まり、輸出抑制となって全体として自然にバランスが取れてくるものだと・・・
古典的にはリカードなどが、諸国はそれぞれが得意な財の生産を行い、得意でない財との交換によってバランスが取れるものだとした(比較生産費説)・・・だが今日では相互に得意な財の生産物交換だけでうまくバランスが取れないようになってしまっている・・・つまり「貨幣」の交換価値が主役を演じるからである・・・
更にはマネー競争による過剰貨幣が諸国間のバランスを崩してしまう、昨今の円高は財の生産の多寡によって引き起こされたものではない、巨大金融資本による貨幣のための貨幣競争による通貨の堕落によるものであろう・・・
・・・それはマクロ理論がミクロ個体の動きを取り入れていないからである・・・具体的に言うなら、マクロ理論では貨幣政策がミクロ個別資本の動きを無視しているからではないか・・・マクロ政策を現場で実践するのは、具体的には銀行、それに乗るヘッジフアンドなどである・・・個別資本は中央銀行などの貨幣政策を先読みして、個の利益確保に走り出すものであろう、それが生活者というミクロにいかなる影響が出るかの検証も取り入れた論が、いまだに出ないことは正に経済「学」の怠慢としか言いようがない・・・
・・・経済政策は実際には政府によって行なわれる、だから学者は政府に理論を提供する、それが今日まで、個別資本にだけ利するマクロ理論だけを提供して来たのではないか・・・
皮肉にも貨幣政策の失敗、いや石油連動通貨など、裏算用によって目論んだことがうまく行かなくなって、そのことが格差問題や貧困層の問題を浮き彫りにしていることは、ケガの功名であるかも知れない・・・
(続く)。
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Re: 当代世間裏算用「経済学の怠慢@ ( No.3 ) |
- 日時: 2009/10/15 00:21
- 名前: 役立ちの住人
- 経済学は金融で利益を生み出すことを、主な目的で発展してきたため、金融で生み出す利益が必ずしも社会に貢献しないことを、証明しようとはしない。
ここが経済学の唯一の欠点であり、経済の最大の問題点でもある。 しかし、基本的には、経済学は正しいし、政府や特定の立場のものに利するものではない。 政治家、官僚、マスコミ、国民の経済学に対する認識が、足りないために、個々が勝手に経済学を、自分に都合がいいように解釈し押し付けあっている。 間違った解釈を、押し付けられていることにさえ気付かない。 もし経済学が無ければ、貧富の差や多くの社会問題は、収拾のつかないほどに拡大するだろう。 どのような経済問題も必ず、人間の利己主義と無知から生まれる。 学問の本質は、純然たる客観性にある。 問題の解決方法も、客観性によってもたらされるが、問題そのものは、主観性と無知によって引き起こされる。
経済とは、消費から生産にいたる活動以外の何物でもなく、経済学や、貨幣そのものでさえ単なる制度に過ぎない。 原因と結果、本質と道具、勘違いや混乱が、間違いを産む。
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Re: 当代世間裏算用「経済学の怠慢@ ( No.4 ) |
- 日時: 2009/10/15 00:30
- 名前: 天橋立の愚痴人間
- 満天下有人 さん、
待ってました。
もう少し拝見させていただきます。
それにしても、タイトルの付け方、私などより一回り(失礼!)年齢の差を感じさせられます。
いろいろと展開されてゆくことを楽しみにしています。
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