Re: 医療制度を考える ( No.1 ) |
- 日時: 2018/10/13 22:31
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:ZQ/UKnvc
- 各国(OECD)に医療保険制度を比較してみましょう。
>日本
(保険方式) 社会保険方式 ※国民皆保険 ※職域保険及び地域保険 (自己負担率) 自己負担率 原則 3割 義務教育就学前 2割 70歳〜74歳 2割 (1割に凍結中) (現役並み所得者は3割) (財源保険料負担 報酬の10.00% (労使折半) (国庫負担) 給付費等の16.4% ※協会けんぽの場合 >ドイツ
(保険方式) 社会保険方式
国民の約85%が加入。 ※被用者は職域もしくは地域ごとに公的医療保険に加入。一定所 得以上の被用者、自営業者、公務員等は強制適用ではない。 ※強制適用の対象でない者に対しては民間医療保険への加入が義務付けられていて実質国民皆保険 (自己負担率) ・外来 :同一疾病につき四半期ごと に10ユーロの診察料 (紹介状持参者等は無料) ・入院:1日につき10ユーロ(1300円) (財源保険料負担) 報酬の15.5% 本人 :8.2% 事業主:7.3% ※全被保険者共通 ※自営業者 本人全額負担 (国庫負担) 法律上、2009年においては40億ユーロ(5200億円)としその後毎年15億ユーロずつ合計140億ユーロ(1兆8200億円)になるまで増額することとされていた。 2009年1月に決定された経済金融危機に伴う第二次景気対策において2009年9月以降の保険料率を0.6%減額することが決定されたため、32億ユーロが追加投入された。したがって2012年には上限である140億ユーロに達する見込み。
>フランス
(保険方式) 社会保険方式 ※国民皆保険(国民の99%が加入) ※職域ごとに被用者制度、非被用者制度(自営業者)等に加入。(強制適用の対象とならない者:普遍的医療給付制度の対象となる。) (自己負担率) ・外来:30% ・入院:20% ・薬剤:35% (抗がん剤等の代替薬のない高額な医薬品は0%、胃薬等は35%、有用性の低い薬剤60%ビタミン剤や強壮剤は100%) ※償還制であり、一旦窓口で全額を支払う必要あり(入院等の場合は現物給付)。 ※自己負担分を補填する補足疾病保険が発達している。(共済組合形式、国民の8割が加入) ※上記の定率負担のほか、外来診療負担金(1回1ユーロ、暦年で50ユーロが上限)入 院定額負担金(1日18ユーロ、精神科は13.50ユーロ)があり、これについては補足疾 病保険による償還が禁止されている
(財源保険料負担) 賃金総額の13.85 % 本人 :0.75% 事業主:13.1% ※民間商工業者が加入する被用者 保険制度(一般制度)の場合 (国庫負担) 従来、国庫負担は赤字補填に限定されていたが、1991年から国庫負担が増大。医療、年金等の財源として、一般社会拠出金(目的税)からの充当あり。(税率:賃金所得の7.5%、うち医療分5.29%)
>スエーデン
(保険方式) 税方式による公営の保健・医療サービス ※全居住者を対象 ※広域自治体(ランスティングなど)が提供主体(現金給付は国の事業と して実施) (自己負担) 外来 :ランスティングが独自に設定プライマリケアの場合の自己負担は、1回100〜200クローナ(1300〜2600円) ※法律による患者の自己負担額の上限は全国一律1年間1,100クローナ。各ランスティングはこれより低い額を定めることもできる ※多くのランスティングでは20歳未満については無料。 ・入院 :日額上限100クローナの範囲内でランスティングが独自に設定 ※多くのランスティングでは18〜20歳までは無料。 ・薬剤 :全国一律の自己負担額900クローナまでは全額自己負担 ※年間2,200クローナが上限 (財源 保険料) 無し (国庫負担) 原則なし ※ランスティングの税収(住民所得税等)と患者の自己負担額で賄っている。 ※わずかであるが、国からの一般交 付税、補助金あり。
>イギリス
(保険方式) 税方式による国営の国民保健サービス(NHS) ※全居住者を対象 (自己負担) 原則自己負担なし ※外来処方薬については1処方当たり定額負担、歯科治療については3種類の定額負担あり。 なお、高齢者、低所得者、妊婦等については免除があり、薬剤については免除者が多い。 (財源保険料) なし ※ NHS費用の2割強は、退職年金等の現金給付に充てられる国民保険の保険料から充当されている。 (国庫負担) 租税を財源としている。
>アメリカ
(保険方式) (メディケア・メディケイド→公的保険) ※65歳以上の高齢者及び障害者等を対象とするメディケアと一定の条件を満たす低所得者を対象とするメディケイド ※国民皆保険になっておらず (いかなる医療保険の適用も受けて いない国民が人口の 15.4% (2012))現役世代の医療保険は民間が中心 (自己負担) ・入院(パートA)(強制加入) 〜60日:$1,184までは自己負担 61日〜90日 :$296/日 91日〜150日:$592/日 ※生涯に60日だけ、それを超えた場合は全額自己負担 151日〜 :全額自己負担 ・外来(パートB)(任意加入)年間$147+医療費の20% ・薬剤(パートD)(任意加入) $325まで:全額自己負担$325〜$2,970:25%負担$2,970〜$4,750: 47.5%負担(ブランド薬)/79%負担(ジェネリック)$4,750〜:5%負担又は$2.65 (ジェネリック)/$6.6(ブランド薬)の高い方
(注意) 前に書いてある様に、現役世代がこの制度を受けておらず、全体にはトンデモない高い医療費が必要である。 (財源保険料負担) 入院(パートA) 給与の2.9%(労使折半) ※自営業者:本人全額負担 外来(パートB) 月約104.9ドル(全額本人負担) 薬剤(パートD)(平均保険料) 月約40.18ドル (全額本人負担) (国庫負担) 入院(パートA) 社会保障税を財源 外来(パートB) 費用の約75% 薬剤(パートD) 費用の約75%
(各国比較は終わり)
日本の医療制度が非常に悪いとは言いませんが、各国とも国民の医療については真剣で取り組んでいる事が解ります。 患者の自己負担も、全くない訳でもありません。 ですが、スエーデン、イギリスの様に、ほぼ医療費は無料と言う体制をとっています。 財政的には何処の国でも容易なものではありません。 しかしながら、ドイツ、フランスが手本の様に国家が国民の医療に対して取り組む姿勢に軽重がある事は否めません。
我が国の財政が彼らの国と比較して見劣りしている訳でもなく、国家の姿勢として政策の何に重きを置いているかの違いでしょう。 我が国は、戦後の経済発展期を経て、そのまま経済の発展ばかりに重きを置き、国内の社会福祉政策を省みないでいました。 だから、GDPは増大しても、国内の諸制度は停滞させたままでした。 歴代の自民党政府の怠慢であり、国民を省みないでアメリカ型社会を追い求めた結果です。
そのアメリカにさえ、劣ってしまっている事を証明しましょう。
OECD加盟国の医療費の現状 総医療費(対GDP) アメリカ 17.6% フランス 11.6% ドイツ 11.6% イギリス 9.6% 日本 9.5%
OECD各国が、実際に国庫からどれくらい支出しているか、対GDP比較の数字を探しましたが見つかりません。 ある種の統計では、日本は公的補助にGDPの9%を出していると書かれていましたが、9.0%と言えば、500×0.09=45兆円になります。 医療費の総額が50兆円くらいと言うのに、その様な話は信用できません。 約100兆円の一般会計にも、その様な数字は出てきません。 保険料収入の事を言っているのでしょうね。
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デンマークの医療制度から ( No.2 ) |
- 日時: 2018/10/14 16:23
- 名前: 天橋立の愚痴人間 ID:Egeb2KPs
- 始めにデンマークの医療制度を紹介します。
デンマークの医療(Health care in Denmark)ではユニバーサルヘルスケア制度が存在し、ノルディックモデルの高福祉高負担国家として運営されている。医療制度は地方分権制でデンマークの地方行政区画(レギオナ)に責任があり、レギオナごとに医療計画がなされている。
2013年のWHO報告によれば、平均寿命は79歳、GDPに占める医療費は11.1%、政府一般歳出に占める医療費は16.4%、医師数は人口一万あたり34.2人、看護師数は人口一万あたり160.9人であった。健康格差は他のOECD諸国と比べて低いとされる。
医療の質の向上運動において、デンマークは世界で主導的な立場にある。デンマークの医療は卓越した品質監査・改善制度が整備されているとOECDは評しており、それを支える高度な情報システムネットワークが存在する。
診療ガイドラインも地方から国家レベルまで幅広く整備されている。
>医療情報化
デンマークは世界で最も医療情報化の進んだ国であり、ほぼ全てのプライマリケア医がフルスペックの電子カルテを活用している。医師は電子カルテと電子薬歴を、情報ネットワークMedComを介して情報交換している。
このようにデンマークでは高いレベルで活用されながら、近年の医療情報システムの断片化という問題を抱えており、医療情報システムがその能力を医療の質向上に活かしきれていないと指摘されている。
>プライマリケア(総合診療)
デンマークではプライマリケアの大部分は総合診療医(GP)より提供され、GPへの診療報酬は人頭払いと出来高払いを組み合わせた英国類似の制度である。デンマークには約4100人のGPがおり、一人あたり約1,300人の患者を受け持つ。
レギオナ(5地区)レベルでは、GPの配置数および配置地域について計画する。GPへの診療報酬および労働環境は、医師労働組合とレギオナにおける交渉にて決定される。 コムーネ(98市町村)レベルでは、訪問医療、訪問看護、学校保健などの領域の医療を提供する。 登録したかかりつけGPへの受診の場合、自己負担は生じない。GPを登録していない場合は、受診において医療費の一部を自己負担する必要がある。住民の98.5%はかかりつけGPを登録している。
薬剤費については一部自己負担が生じる。
>専門医療
デンマークには約1200人の専門医がおり、GPからの紹介状があれば自己負担なしで受診することができる。
歯科医療については自己負担が生じるが、18歳未満については免除となる。
>病院医療
デンマークの病院は、二次医療、三次医療を担っており、緊急時を除いてGPからの紹介状なしで受診することはできない。
運営は主にレギオナによる公立であり(コペンハーゲン地方ではCopenhagen Hospital Corporationも存在)、医師・看護師・コメディカルらは月給制の雇用である。民間運営の病院も存在するが、他のOECD諸国と比べて規模は小さく、ベッド数において1%以下にとどまる。
他のOECD諸国と比べ、デンマークはより一層のベッド数削減を成し遂げている。無駄な入院が行われないように、入院は短期間に留めてミュニティケアに切り替える施策がなされており、平均入院日数は4.4日とOECD平均の約半分である。しかし入院患者一人あたり多く費用が使われ、病院セクターの評価は国際的に高い。
財政
デンマークの医療は主に税金による国家歳入を原資としており、財政の約77%を占める[1]。医療支出の84%は公費負担である。
(引用終わり)
要するに、患者はまずGPと言われる医者に診察を受け、必用に応じて病院の専門医療を受ける。 我が国でも、最近はかかり付け医制度をとって、大きな病院へ域場合、かかりつけ医の紹介状を要求される。
デンマークのGPがどの様なものであるかは知りませんが、日本の場合で見てみれば、民間の小さな医院、病院では高度な検査機器がなく、問題のある病気の発見が出来ないことが予想される。 かかり付けの医師が、それを見逃してしまうと手遅れになってしまう。
人々は、それが心配で大きな病院で出来るだけの検査がしてほしくて大病院へ行くことになる。 厚生労働省の役人たちは、自分たちは、まず著名な大病院へ行くはずなのに、一般庶民に対しては、その様な気使いなどしない。 何気なく国の方針に従っていては馬鹿を見ることになる。
ところでデンマークは社会福祉も進んだ国、GP制度をとっていても、このような欠点はカバーできているのではないかと思う。 おそらくGPの段階で、殆どの精密検査が出来るようになっているのであろう。 上の文章では出てこなかったが、GPが互いに利用できる検査専門の機関があるかも知れない。
それでも、デンマークには4100人のGPが指定されているようだが、その個人の判断力が一様とは限らない。 患者はあらかじめ自分のGPを決められている様であるが、判断力の劣るGPにかかれば不幸である。 この点で、自由に病院を選べる日本の方が有りがたく思える。
さて、もう一つ、デンマークは総人口550万人の国、大坂市の人口にも満たない。 このような環境できめ細かいシステムが出来ても、1億2000万人の我が国全体に当てはめられるシステムではない。
しかしながら、デンマークを参考に、いろいろと考える事は出来る。 かかり付け医制度を充実させて、むやみに大病院へ殺到し、不必要な医療を受ける事の内容に、もう少し医療体系を整理しなければ医療費がかかり過ぎて財政が持たない。
我が国に必要なのは、かかり付け医の技術的支援体制である。 かかり付け医と言っても多くは大病院で診察を経験した医師が開業するもの、専門知識や能力において大病院の医師に劣るものではない。 ただ検査技術、検査機器を利用することが出来ないのである。
この問題を解決するには、地域における医療体制として配置されている大病院の検査機関を開業医でも自由に使えるようにすることである。 その為の補助を国家でやれば良いのである。
そうすれば、自然と多くの患者は近くのかかり付け医へ行くことになる。 大病院は大病院らしく重症患者や入院患者を治療すれば良いのである。
こうして医療を分業化させることで医療の無駄を省くことが出来るのである。 しかしながら、現在の日本の病院システムは、医科大学の系列を重視し、それを許さない。
政治とは、行政とはこの領域で力を発揮すべきである。 医療システムの改善と同時に介護システム、終末医療(ホスピス)のシステムも同調させるべきである。
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