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医者の話 糾弾 コラムのページ

ジェットストリーム 詩:堀内茂男 ナレーション:城達也 3

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ジェットストリーム 城達也写真集 ナレーション 1 ナレーション 2 ナレーション 3 ナレーション 4 ナレーション 5

原色の町 ダウンロード
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情熱のことならベアトリスに聞くがいい。
ブエノスアイレスの原色の港町に、とっぷり日が暮れる頃…
いや、それではまだ早い。
真夜中を過ぎて、ネオンライトのタンゴ・バーが妖しい先に
染まる頃どこかの店で彼女の歌が聴けるはずだ。
ナイトツアーの観光バスが
その昔の伊達男たちの船着き場や
カミニートとよばれる小径を巡って
夜ごと繰り込むところの、ボーカ地区の
民謡酒場のひとつだと思えばいい。
恋の鞘当てなど、日常茶飯の港町の歌姫だから
袋小路に迷いこんだ情熱の出口など
いともたやすく、教えてくれると思うのだが…。
マドレーヌのワルツ〈マドレーヌ〉 ダウンロード
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パリヘ行ったら、まず菓子屋を探して、マドレーヌを買うのだ、と
青臭いことを云っていた君。
菓子屋という菓子屋の、店内の篭に山積みになって
云うならば、煎餅みたいにありふれたマドレーヌを
どの店で選んだだろう。
どれもこれも同じ様で、ついにはやけになって、一番つまらない店で
二、三個、紙袋に入れてもらったのではないか。
かさこそと、袋の中で揺れたに違いない、君の散文的なマドレーヌ。
その足で、サクレクールの石段を登り
パリの憂を見渡しながら頬ばった、一目目のマドレーヌは
とろけるばかりの記憶の海へ繋がっていただろうか。
駄菓子一個に魅せられた、君の壮大な旅路の果てを思うと
私は楽しくて仕方ないのだ。
白夜の恋 ダウンロード
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デンマークの森のサマーハウスで
白夜の恋が眠ろうとしない。
寝室のカーテンに透けている戸外の明るさは
飲み残しのワインが薫る部屋から、時間を消し去っている。
恋人たちは、また服を着て
花咲く夜の道へ出て行くだろう。
白絹をかけて、遠く白い眺めは
まばらな針葉樹の丘の向こうに、湖の光沢を覗かせている。
白夜送りのかがり火が燃える野もあるだろう。
火を放たれて、湖に置かれた筏もあるだろう。
その赤い火が、白絹の一点を焼きつくして
恋人たちの胸に燃え
北国の多産な夏を祝うというのだ。
琥珀色のときめき〈ミコノス〉 ダウンロード
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ミコノス島の白塗りの町が西日を浴び
小高い丘の上で、四基の粉挽き風車が息を止めている。
海べりのレストランの店先には、揃いのクロスを掛けたテーブルが
選り取り見取りの引き札のように並べられている。
オリーブ油の匂いに誘われた夕涼みの客に
スブラキもムサカも、生きのいいエビ料理も用意されているが
本当のもてなしは、エーゲ海の入り日だ。
船旅の果てに、一日をしめくくる晩餐の席では
海に傾くオレンジ色の太陽を肴に
媚薬がわりのブドー酒を汲み交わして
恋のひとつも語ってほしいと云うのだった。
ネッカチーフ ダウンロード
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アルゼンチンの大草原は、男達の夢を飲んで、なお果てもなく広い。
フランス語を話す牧場主によれば
ガウチョは男伊達の見本だったそうだ。
今はブエノスアイレスの屋敷で暮らす牧場主だが
銀の拍車をぴかぴかに磨いて
何人ものセニョリータを幸せにした、若い頃が懐かしい。
銀貨を鱗のように打ちつけた幅広のベルトと
同じく銀鞘の短刀が自慢で
幾度かの決闘の跡が、銀貨の上に切り疵になって残っている。
牧場主仲間のクラブヘ、白塗りの豪勢なオープンカーを駆って行く時も
ネッカチーフを風になびかせて胸をばった彼は
大草原に馬を走らせている気持ちだったかもしれない。
夕暮のデロス「ミッコノース、ミッコノース」と ダウンロード
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桟橋で、船頭さんの娘が可愛い声をはり上げている。
夕暮のデロス島で
お客さんはもう、渡し船に乗って
ミコノスヘ戻る時刻だというのだ。
乗りはぐれたら、この無人島に一人取り残されて
ユリシーズの夢を見ることになるだろう。
廃墟の床を飾る、獅子のモザイクの上で
月明かりに照らされながら
この島の主であるトカゲの群に食われて
命果てるかもしれない。
それもいいではないか、と
英雄気取りのお客さん達が
三々五々船着場に集まってくる。
娘さんの呼び声が長く尾を引く先の
ミコノス島の白壁の町に
もう一つ、思い残すこともあるというので…。

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